ProGCCFireBirdなどの高性能なプロコン型のコントローラーが出てから、まもなく1年が経過します。
これまで、ProGCCとFireBirdの違いは何なのかという疑問を抱いた方はたくさんいらっしゃると思います。
VIZARD CLUBでもたくさんそのようなお問い合わせをいただいてきました。
しかし、要素が多く違いをしっかりとお伝えしきれないことが多々あり、1年経つ今でも違いは曖昧で、多くの方がほとんど同じものだと思われていると思います。
そこで、ProGCC3.1FireBird2.2とそれぞれの新型が発売されたこのタイミングで、国内で最も多くのProGCCとFireBirdをそれぞれ組み立ててきたショップとして、詳細な内容をまとめた記事を書くことにしました。
大まかな機能はほとんど同じでも細かいところにはいくらか違いがありますので是非見て行ってください。
本記事の内容は執筆時の7月上旬時点でのものとなります。

各プロコン型コントローラーの簡易比較表

今回は純正プロコンProGCCFireBirdに加えてプロコン型PhobコンであるThingama Proを比較していきます。
まず最初に、各コントローラーを簡単に紹介させていただきます。
  • 純正プロコンSwitch Proコントローラーです。公式のコントローラーです。
  • ProGCC…アメリカのHandHeldLegendというショップが開発した高性能なプロコン型有線コントローラーです。(現在は無線対応バージョンもあります。※技適認証済みだが、技適マークなし)
  • FireBird…日本国内でぼんじり氏が個人で開発した高性能なプロコン型有線コントローラーです。
  • Thingama Pro…ホールセンサースティックを採用したGCコン型コントローラー『PhobGCC』の回路をベースとしたプロコン型コントローラーです。Phobコントローラーと機能的には同じなので、GCコンとして認識します。使用者がほとんどいないため、おまけとしてお考え下さい。v3以降のProGCCのベースにもなっています。
基本的には☆5が最大の5段階評価で、機能がない場合は☆0とさせていただいております。
これらの中で最も優れたものを☆5とし、そこを基準とした相対的な減点方式で点数を決定しています。

各項目の詳細

スティック(ホールセンサー)

この項目はスティックのホールセンサー部分を評価するものです。
ProGCC、FireBird、Thingama Proはホールセンサースティックを採用しています。従来のスティックは、抵抗体とワイパーが触れ合うことで現在の角度を測る仕組みのセンサーですが、物理的に触れ合う必要があるため経年劣化でプロコンでよくあるドリフト現象などの故障が起こります。
ホールセンサースティックは磁界を読み取るセンサーでマグネットの向きを読み取ることでスティックの角度を測っています。無接点で角度を読み取ることができるため、理論上劣化が起こりません。
稀に使っていくとホールセンサースティックでもいずれドリフト現象が起こると思っている方がいらっしゃいますが、理論上はセンサーが原因のドリフト現象は起こりません。
次項のスティック(耐久性)で耐久性の低いスティックを使っていると、軸が緩みドリフト現象が起こる場合があります。
ProGCC、FireBirdは既製のプラスチックパーツでポテンショメーターのように作られたホールセンサーを使用しています。マグネットが勝手に外れることはありません。
Thingama Proは3Dプリント製のマグネットマウントをスティックに接着する方法のため、強い衝撃を加えるとマグネットマウントが外れてしまう可能性があります。機能的な違いはありませんが、☆1つ減点とさせていただきます。
見た目はポテンショメーターのようですが、内側には磁石が入っています。

スティック(耐久性)

この項目はジョイスティックの耐久性の部分を評価するものです。
プロコン型コントローラーに互換のあるジョイスティックにもいくつか種類があります。
主に使われているのはホールセンサースティックのパイオニアであるGuliKitスティック、GuliKitスティックのジョイスティック部分のOEM元であるK-Silverスティック、後発でありながら品質の良いGinfullスティック、そして純正プロコンなどに使われているALPSスティックがあります。
それぞれのコントローラーで使われているジョイスティックは以下のような感じです。
Thingama Proはほとんど販売されておらず、DIYで作る場合は任意のスティックを使用できるため、上記のようにさせていただきました。
GuliKitスティックとK-Silverスティックは同じであるため、ひとまとめにして説明させていただきます。
  • GuliKit/K-Silverスティックはこれらの中で最も耐久性が低いです。長期間の使用で軸が緩くなってしまうことがほとんどです。軸が緩くなることでデッドゾーンのないコントローラーではドリフトが起こることになってしまいますので、ProGCCではドリフトが起こったら中心付近のデッドゾーンを広めに設定して解決するように案内しています。(デッドゾーンを0に設定しても標準で一定のデッドゾーンを設けられています。)
    さらに、ジョイスティックを動かした時にキシキシしたような引っかかるような感触があるので、違和感を感じる方もいらっしゃるかもしれません。そのような引っ掛かりがあるためか、軸が僅かに傾いていることがあります。
    また、軸が折れてしまったので交換したいと問い合わせがあったコントローラーは全てこちらのジョイスティックでした。余談として、スティックの高さが純正プロコンと異なります。純正プロコンは19.1mmですが、こちらは19.5mmで0.4mm高いです。Dualsense用のスティックが19.5mmです。GuliKitスティックが改善されたとの情報をいただきましたので、引き続き検証いたします。現状のもので改善されていた場合、☆1から☆2になる見込みです。(少なくともキシキシした感触は改善しておらず、何かが改善しているとは考えにくいです。)
    2024年7月にGuliKitよりTMRスティックという非常に高価なホールセンサースティックが発売されました。センサーの精度が通常のホールセンサーよりも良いのでフィルターをかける前のジッターなどはかなり抑えられていましたが、ジョイスティック部分はこれまでのものと同じですので、こちらも同様の評価です。こちらもプロコンではなくDualsense用の高さのジョイスティックになります。
  • ALPSスティックは構造はGuliKit/K-Silverスティックと同じですが、それほど早くジョイスティックが緩くなることはありません。また、ジョイスティックを動かした際のキシキシとした感触もありません。ただし、ALPSスティックに標準でホールセンサーが搭載されたモデルはないため、今回においてはマグネットを接着するタイプのThingama Pro向けのジョイスティックです。
  • Ginfullスティックは我々が検証した中では現状最も使い心地の良いジョイスティックです。ジョイスティックを動かした際のキシキシした感触もなく、長期使用しても軸が緩くなりにくいです。また、スティック押し込みのタクトスイッチ周りの構造が他とは異なり、壊れにくく設計されています。純正プロコンではALPSスティックのタクトスイッチ周りが壊れていることも度々目にしますね。Ginfullスティックは、スティックの押し込みがALPSスティックよりも僅かに軽く感じます。(データシート上はALPSスティックと同じ重さです。)
ALPSスティックを基準として、軸とタクトスイッチの両方の耐久性を改善しているGinfullスティックを☆2つ加点とし、軸が緩みやすいGuliKitを☆2つ減点としています。
左から、GuliKit, K-Silver, ALPS, Ginfullです。
Ginfull(右)のみタクトスイッチ周りの構造が変わっていて、壊れにくくなっています。
内部はGinfull(右)のみ構造が違います。バネの径が大きいものが耐久性が高い傾向があるようです。

スティック(ジッター)

この項目はスティックのジッターを評価するものです。
ジッターとは、スティックのぶれのことです。
劣化が起きないホールセンサースティックの欠点として、ジッターの起こりやすさが挙げられます。
無接点で磁界の読み取って信号へ変換していますので、物理的に擦れて信号を 出す従来のセンサーよりも敏感に反応してしまいます。
  • 純正プロコン…物理的に擦れるセンサーを使用してますのでジッターは少ないです。
  • ProGCCホールセンサースティックを使用していますが、ソフトウェアでProGCC独自のジッター抑制フィルターをかけているのである程度抑制されています。強くフィルターをかけると遅延感や操作性に影響が出る可能性のある、コンデンサによるフィルターでないのもポイントです。
  • FireBird…ホールセンサースティックを使用していますが、ソフトウェアでFireBird独自のジッター抑制フィルターをかけているので、純正プロコン同等のジッターに抑えられています。フィルター無しと比較して1/10~1/20ほどのぶれ幅になっています。また、強くフィルターをかけると遅延感や操作性に影響が出る可能性のある、コンデンサによるフィルターでないのもポイントです。
  • Thingama Proホールセンサースティックを使用していますが、Phobファームウェアのジッター抑制フィルターによってかなり抑えられています。

 

スティック(キャリブレーション)

この項目はスティックのキャリブレーション(調整)を評価するものです。

  • 純正プロコン…外周と上下左右の4方向の補正ができます。※画像は丸型ゲート
  • ProGCC…外周のスケーリング、八角形ノッチ付きのシェル用の8方向の角度補正、さらにサブノッチを掘ったシェル用のサブノッチ補正機能があります。スケーリング後、エッジデッドゾーン機能を使って調整することで、画像のようなスケーリング精度になります。デッドゾーン機能を使用しているため、円より外側はデッドゾーンとして切り捨てられています。すなわち、僅かに外側のデッドゾーンが発生します。※画像は八角ゲート
  • FireBird…外周のスケーリング、八角形ノッチ付きのシェル用の8方向の角度補正機能があります。FireBirdの角度補正機能は、スティックを倒して方向を合わせる方法の他に0.0001°単位で任意の角度を入力して調整することもできます。また、スケーリング精度はFireBirdが最も高いです。0%エラーの精度ですが、円より外側をデッドゾーンとして切り捨てているわけではなく、単純にスケーリング精度の高さで0%エラーを出しています。(サブノッチ補正にも今後対応予定とのことです。)※画像は八角ゲート
  • Thingama Pro…外周のスケーリング、八角形ノッチ付きのシェル用の8方向の角度補正、さらにサブノッチを掘ったシェル用のサブノッチ補正機能、その他Phobファームウェアに含まれるマニアックな調整機能があります。

 

跳ね戻りフィルター

この項目はスティックの跳ね戻りフィルターを評価するものです。

スティックをはじいた際に勢い余って逆方向へ入力が入ってしまう跳ね戻り現象を抑えるフィルターです。

  • 純正プロコン…ありません。跳ね戻りが起こりやすいことで有名ですね。
  • ProGCC…ソフトウェアでの跳ね戻りフィルターがあります。フィルター強度は決め打ちです。オフにすることもできません。コンフィグツール上からはスティックが跳ね戻りが起こる閾値を超えない様子を見ることができます。
  • FireBirdソフトウェアでの跳ね戻りフィルターがあります。フィルター強度は左右それぞれ0~9の10段階から選べます。コンフィグツール上からはスティックの跳ね戻りを確認しながら、閾値を超えないように調整することができます。
  • Thingama Pro…ソフトウェアでの跳ね戻りフィルターがあります。フィルターは2種類あり、強度は左右それぞれ10段階から選べます。

ProGCCは決め打ちという理由で☆1つ減点とさせていただきました。跳ね戻りフィルターの使い心地はどれも良い感じです。

 

遅延

この項目はコントローラーの入力遅延を評価するものです。

  • 純正プロコン…無線時は基本的に遅延はありませんが、大人数が集まるイベントや大会などでは、混戦が起きて入力遅延や入力抜けが発生することがあるようです。基本的には無線用のチップで処理が行われますが、有線接続時は有線で通信を行うために専用のチップを経由します。この伝送経路で約1Fの遅延が発生します。
  • ProGCC…入力遅延はありません。理論上はミリ秒単位の差でGCコンよりも遅延が少ないですが、人間に感じられるほどの差はないと思います。
  • FireBird入力遅延はありません。理論上はミリ秒単位の差でGCコンよりも遅延が少ないですが、人間に感じられるほどの差はないと思います。
  • Thingama Pro入力遅延はありません。GCコンと同等です。

 

 振動機能

この項目はコントローラーの振動機能を評価するものです。

まずは、コインモーターとHD振動について簡単に説明します。

  • コインモーター…コインモーターは、ERMモーターという種類の振動モーターです。モータ内部の部品が回転して振動を生み出すため、繊細な表現はできません。GCコンのモーターを小さくしたようなものです。
  • HD振動…HD振動は、LRAモーター(リニア振動モーター)を使って繊細な振動表現をする技術です。振動に強弱をつけた繊細な振動表現によって、例えばサイコロを本当に手の中で転がしているようなリアルな触感が得られます。

  • 純正プロコンHD振動に対応しています。
  • ProGCC…ProGCC3.1からHD振動を表現するLRAモーターの駆動には対応しました。しかし、HD振動の再現度はいまいちで、本物には遠く及びません。例えば、スプラトゥーン3のイカダッシュ中の繊細な振動が強く振動してしまうなど、強弱がつけられていません。振動強度の調整に対応しています。ProGCC製作者は現在HD振動の改善に取り組んでいますが、回路の問題で100%のクオリティにはできないとのことです。次のバージョンのProGCCでは改善していると思います。
  • FireBird…HD振動に対応しています。純正のHD振動にかなり近く再現されていて、現状純正プロコンを除くHD振動対応を謳っているコントローラーの中では圧倒的です。振動強度の調整に対応しています。
  • Thingama Pro…コインモーターに対応しています。HD振動は対応していません。振動強度の調整に対応しています。

検証のためにHD振動対応を謳っているコントローラーをいくつか購入していますが、しっかりと対応しているコントローラーはごく僅かしかありませんでした。どれもProGCCのようにLRAモーターを駆動させることはできていてもHD振動ではありません。どちらかというとLRAモーターの駆動に対応といった感じです。

HD振動が必要な方はFireBirdがベストな選択肢となるでしょう。

ジャイロ機能

この項目はコントローラーのジャイロ機能を評価するものです。

ジャイロに関しては純正プロコンを基準としてどれくらい操作性が近いかで評価しています。

 

  • 純正プロコンこちらが基準です。
  • ProGCC…純正プロコンよりも少し感度が高いです。スプラトゥーン3では、感度-0.5~-1.0で純正プロコン相当になりました。
  • FireBird…純正プロコンよりも少し感度が低いです。スプラトゥーン3では、感度+3.5で純正プロコン相当になりました。Discordサーバーにあるベータ版ファームウェアで純正相当の感度に調整されています。
  • Thingama Pro…ジャイロ機能は対応していません。

 ジャイロに関してはProGCCもFireBirdも完全に純正プロコンと同じ操作感というわけではありません。

普段ジャイロを使うゲームを遊んでいる場合は、感度を調整しないと違和感があるかもしれません。

十字ボタン

この項目はコントローラーの十字ボタンを評価するものです。

純正プロコンに問題点のひとつとして挙がるのが十字ボタンの誤反応です。

 誤反応のしにくさ、上下左右と斜めの入力のしやすさで評価しています。

  • 純正プロコンこちらが基準です。操作感は概ね良いですが、強く押したりすると、誤反応することがあります。
  • ProGCC…フレキシブルケーブルのコネクタと、LRボタンのブラケットが干渉しているため、十字ボタンの上と右がかなり強く押さないと反応しなくなっています。ブラケットを加工することで修正できますが、純正プロコンよりも基板のパッド形状が感度高く設計されているため、軽く押しても誤反応はしやすいです。十字ボタンでの操作が必要なゲームには向かないです。
  • FireBird純正プロコンよりも基板のパッド形状が感度低く設計されているため、誤反応は非常にしにくいです。上下左右に加えて斜めの入力も気持ちよく入るので、現状こちらのボタン基板がベストです。
  • Thingama Pro…純正プロコン同等の使用感です。

 FireBirdのボタン基板は純正プロコンにも互換があります。そのため、純正プロコンの十字ボタンの感度改善やABXYやLR/ZLRボタンのマウスクリック化にも使うことができます。今後は純正プロコンにも使う人が増えることを期待しています。

コンフィグツールの使い勝手

この項目はコンフィグツールの使い勝手を評価するものです。

  • 純正プロコン…コンフィグツールはありません。
  • ProGCC…webアプリケーションのコンフィグツールがあります。webアプリケーションのため、Windows、Mac、Androidと幅広い端末でコントローラーの設定を変更することができます。一方で、原因不明でうまく接続できないケースが過去に何度かあったので、環境次第では何かトラブルがあるのかもしれません。
  • FireBird…Windows用アプリケーションのコンフィグツールがあります。使い勝手はとても良いですが、WindowsのPCでしかコントローラーの設定を変更することができません。
  • Thingama Pro…Phobと同じく押下するボタンの組み合わせで設定を行います。設定方法がややこしいので、やり方をしっかりと理解していないと設定変更は難しいです。

 ProGCCのコンフィグツールはandroidにも対応しているため、出先でもスマートフォンから設定変更が可能です。多くの端末をサポートしているのは嬉しいですね。

対応ハードウェア

  • 純正プロコンUSB接続でPC、Switchに対応しています。
  • ProGCC…USB接続でPC、Switch、Retro-Cケーブル接続でGC、N64、SFC(SNES)に対応しています。各モードを切り替えるには、接続時に任意のボタンを押す必要があります。
  • FireBird…USB接続でPC、Switch、Retro-Cケーブル接続でGC、N64、SFC(SNES)、newFC(NES)に対応しています。それぞれのハードウェアを自動で認識して接続モードを切り替える、自動識別機能があります
  • Thingama Pro…Retro-Cケーブル接続でGCに対応しています。

 

対応プロトコル

  • 純正プロコン…Proコントローラーです。
  • ProGCCUSB接続では、XInput(1,000Hz)、Proコントローラー、接続タップ+GCコン、Dualshock4(PCのみ)の4つに対応しています。
  • FireBird…USB接続では、DirectInput(1,000Hz)、XInput(1,000Hz)、Proコントローラー、接続タップ+GCコンの4つに対応しています。
  • Thingama Pro…GCコンとして動作します。使用するにはGCコンRetro-CケーブルとGCコン接続タップが必要です。

 

キーコンフィグ

この項目はコンフィグツールのキーコンフィグ機能を評価するものです。

 

  • 純正プロコン…コントローラー単体でのキーコンフィグ機能はありません。
  • ProGCC…XInput、Switch、GC、N64、SFC(SNES)のキーマッピングをそれぞれ設定することができます。
  • FireBird…PC(DirectInput/XInput)、Switch、GC、N64、SFC(SNES)、FC(NES)のキーマッピングをそれぞれ設定することができ、それらの設定のプロファイルを5つまで保存することができます。
  • Thingama Pro…キーコンフィグ機能はありません。

 

RGBライティング

 この項目はRGBライティングを評価するものです。

 

  • 純正プロコン…ボタンLEDはありません。4つのプレイヤーランプとHOMEボタン、充電ランプにLEDがあります。
  • ProGCC…すべてのボタンとスティック、4つのプレイヤーランプにLEDがあります。少し残念な点が、HOMEボタンにLEDが下側1つしか入っていないことでHOMEボタンの上半分が暗くなってしまっている点です。(純正プロコンは上下に入っている。)また、ABXYボタンもボタン下側にそれぞれ1つずつLEDが入っています。下側が強く光って見える他、下側のみにLEDが入っていることでボタンが傾いている場合がありました。v3では顕著でしたが、v3.1より高さの低いLEDに変わったため、以前より改善しています。LEDに明るさ調節の項目がないため、明るさを調整するにはコンフィグツールでLEDの色を選択する際に、明度を下げた色を選択する必要があります。(明度を下げないとかなり眩しいです。)発光パターンは、User(スタティック)、Rainbow(スペクトラムサイクリング)、Fairy(ランダム)、User Fade(任意のスペクトラムサイクリング)、User Fairy(任意のFairy)です。
  • FireBirdすべてのボタンとスティック、4つのプレイヤーランプにLEDがあります。HOMEボタン、ABXYボタンには上下にLEDが入っています。各ボタングループのLEDの明るさを別々に調節することができます。スティック周りの4つのLEDの配置の仕方を工夫しており、普通に配置したときよりも色ムラがなく綺麗に発光しています。発光パターンは、スタティック、スペクトラムサイクリング、ブリージング、ファイア、リアクティブです。
  • Thingama ProLEDはありません。

比較のためにかなり詳細に書きましたが、ProGCCもFireBirdもRGBライティング機能としては十分に美しく光ります。

トーナメントモード

トーナメントモードとは、大会中に不要なボタンが誤入力されないようにロックする機能です。

  • 純正プロコン…トーナメントモードはありません。
  • ProGCC…シンクロボタンを押すと全てのボタンが緑色に光り、トーナメントモードに入ります。トーナメントモードに入ると、プラス、マイナス、HOME、CAPTUREと、十字ボタンがロックされます。再度シンクロボタンを押すと全てのボタンが赤色に光り、トーナメントモードを終了します。中華の互換シェルを使用して組み立てると、シンクロボタンが快適に押すことができないので注意が必要です。(VIZARD CLUBで組んだものはボタンを加工して押せるように調整してあります。)
  • FireBirdHOMEボタンを3秒間長押しすると、トーナメントモードに入ります。トーナメントモードに入ると、プレイヤーランプが点滅し、プラス、マイナス、HOME、CAPTUREと、十字ボタンがロックされます。再度HOMEボタンを3秒間長押しすると、プレイヤーランプが点灯し、トーナメントモードを終了します。
  • Thingama Pro…予め設定するトーナメントモードがあります。ProGCCやFireBirdのように簡単にオンとオフを切り替えることはできません。

 

拡張性

機能追加の対応状況についてです。

追加可能な機能は主に以下の通りです。

  • ハードワイヤリング:USB-Cケーブルでの接続だと、意図せず抜けたりコネクタに負荷がかかったりして接続が切れてしまうことがあります。基板に直接ケーブルを接続することで接続切れの心配を無くすことができるカスタムがハードワイヤリングです。特にスマブラSPなどのゲームスピードが速く激しいゲームや、接続切れが許されない競技シーンなどで重宝します。
  • ABXYボタンマウスクリック化:ABXYボタンをマウスクリック化することができます。単純に押下するストロークが短くなり、より早くボタンを押すことができます。
  • LR/ZLRボタンマウスクリック化:LR/ZLRボタンをマウスクリック化することができます。単純に押下するストロークが短くなり、より早くボタンを押すことができます。

各コントローラーの対応状況は以下の通りです。

  • 純正プロコン…特にありません。
  • ProGCC…v3.1は特にありません。メイン基板は一応USBケーブル用のテストポイントが用意されていますが、ハードワイヤリングするには位置が良くなく、難易度はかなり高いと思います。実質ハードワイヤリングのサポートは無しと判断しています。(v3はハードワイヤリングに対応しています。)
  • FireBird…メイン基板は、ハードワイヤリングに対応しています。ボタン基板はABXYボタンのマウスクリック化に対応しています。LRボタン用フレキシブル基板はLR/ZLRボタンのマウスクリック化に対応しています。FireBirdのボタン基板とLRボタン用フレキシブル基板は、純正プロコンやProGCCにも互換があるため、これらのコントローラーをマウスクリック化したいときにも使用することができます。
  • Thingama Proボタン基板はABXYボタンのマウスクリック化に対応しています。

 

ファームウェア更新

  • 純正プロコン…Switch上から行います。
  • ProGCC…コンフィグツールから新しいファームウェアをダウンロード後、コンフィグツール上からコントローラーのブートローダーを開きます。その後、新しいファームウェアをコピーしてファームウェア更新を行います。
  • FireBird…コンフィグツール上からワンクリックするだけで、自動でファームウェア更新が完了します。
  • Thingama Pro…プラスボタンを押しながらPCへ接続してブートローダーを起動後、最新のPhobファームウェアをコピーしてファームウェア更新を行います。

 

 本体認識カラー変更

Switch本体に認識される際のコントローラーの色を変更する機能です。

FireBirdのみこの機能に対応しています。

組み立てやすさ

これまで、機能にフォーカスして比較をしてきましたが、最後にProGCCとFireBirdの組み立てやすさを比較します。

キットを購入する際の参考になれば幸いです。

正直なところ、こちらに関してはFireBirdの方が組み立てやすいと思います。

詳細な内容は以下のようになります。

  • 加工の有無…FireBirdは無加工に対し、ProGCCはLRボタンのブラケットを加工する必要があります。v3.1から振動モーター用のコネクタを追加したことで、フレキシブルケーブルのコネクタが横にずれ、LRボタンのブラケットに干渉するようになってしまったためです。これを加工せずに組み立てると、十字ボタンが正常に効かなくなってしまいます。
  • 振動モーター用コネクタの位置…FireBirdは基板を固定していても振動モーターを付け外ししやすい位置にコネクタがありますが、ProGCCは基板を外さないとシェルに干渉して振動モーターの付け外しができません。また、振動モーターのケーブルの長さがギリギリになってしまっています。
  • LRボタン用フレキシブル基板…FireBirdは両面テープが裏面に付いていますが、ProGCCは付いていません。両面テープがなくても組み立てはできますが、シェルを閉めるときに浮いたフレキシブル基板をつぶしてしまうリスクがあるため、両面テープがあった方が組み立てやすいです。
  • ブートローダー起動用ボタン…手動でファームウェア更新を行う際にブートローダーを立ち上げる必要があります。FireBirdはLスティックを押しながらUSB接続をするとブートローダーが立ち上がりますが、ProGCCはコントローラーを分解しないとブートローダー起動用のボタンにアクセスすることができません。

まとめ

ProGCCとFireBirdの2つのコントローラーに絞ってまとめさせていただきます。

公開するか非常に悩みましたが、両コントローラーの更新のタイミングということで、各機能を詳細にまとめた記事を書かせていただきました。

細かい違いは非常にたくさんありますが、基本的な機能にはそこまで大きな違いはないため、振動やジャイロを使わない方はどちらのコントローラーを使用しても、それほど違いは感じないのかなと思いました。

しかし、HD振動の再現度などの一部の機能には大きなクオリティの差があります。必要な機能を考えたときに今後はFireBirdが選択肢に挙がることが多くなるのかなと思っています。

このような結果となった背景としてはProGCCとFireBirdの一度に発注する数量の差なのかなと思います。

ProGCCは一度に1,000個単位で発注しているようですが、FireBirdは100~200個単位のようです。そのため、FireBirdの方が更新頻度が高く、リアルタイムに必要な機能を追加していくことができていたのだと思います。

実際に、ProGCCv3とFireBird1.0がほぼ同時期に発売し、ProGCCは最近になって初めての更新であるProGCCv3.1が出ましたが、その間にFireBirdは軽微なバグ修正等も含めると5回目の更新となりました。

製作者のぼんじり氏曰く、FireBirdはもうほとんど完成形で、特に何かない限りは大きなアップデートはないとのことなので、現在は安心してご購入いただけます。

また、必ずお伝えしないといけないのがスティックの耐久性の差です。

v1.2までの初期のFireBirdとv3とv3.1のProGCCに使われているGuliKitスティックは非常に緩みやすく、これまでも修理の相談を何度も受けてきました。センサーが劣化しなくとも軸の劣化が激しければ意味がないということで、FireBird v2.0以降では数あるスティックの中で耐久性に最も優れたGinfullスティックに変更されています。

今後VIZARD CLUBでは緩んだGuliKitスティックを耐久性の高いGinfullスティックに交換する修理サービスも実施予定です。

このような理由から、VIZARD CLUBでは今回はProGCC3.1の取り扱いを見送り、FireBirdのみの取り扱いとさせて頂いております。

既にご購入いただいているProGCCに対する追加カスタムなどは対応可能なものもあるかもしれませんので、引き続き検討していこうかなと考えております。

最後に、FireBirdのキット販売をしている『ぼんじりちゃんねる』と、完成品販売をしている『VIZARD CLUB』で共同運営する、Discord『FireBird Controller』サーバーを作りましたので、興味がある方はご参加ください。

FireBirdに関する質問はこちらのサーバーでお答えできます。

ご参加お待ちしております!

FireBird Controller Server

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